日本AVCのブログ

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ケーブルグランドのトルク管理ガイド

はじめに

今回は、ケーブルグランドをお使いの皆様へ、「トルク管理」の重要性について解説します。
「しっかり締めたはずなのに、防水がうまくいかない…」
「作業者によって仕上がりに差が出てしまう…」
といったお悩みを解決するため、正しい管理方法や注意点、さらには弊社が提供する『トルクレンチ貸出サービス』や『締付トルク測定サービス』についても詳しくご紹介します。この記事を読めば、ケーブルグランドの性能を最大限に引き出すためのヒントが得られるはずです。

 

 

 

 

 

トルク管理は必要?

「ケーブルグランドにトルク管理は必要ですか?」というご質問をよくいただきます。
結論から言うと、特にIP68のような高い防水・防塵性能を確実に発揮させるためには、トルク管理は非常に重要です。

 

ケーブルグランドには、主に2つの締め付け箇所があります。

  • ロックナット側: 機器の筐体に本体を固定する部分
  • シールナット側: ケーブルを締め付けて固定する部分

これらの締め付けが弱すぎれば防水性能が低下し、強すぎれば部品が破損する恐れがあります。トルク管理は、こうした施工のばらつきをなくし、「誰が作業しても設計通りの性能を確実に引き出す」ために不可欠な工程なのです。

もちろん、簡易的な防塵・防水が目的であれば、手締めでも十分なケースもあります。しかし、より高い信頼性が求められる場面では、トルク管理を推奨します。

 

 

 

トルク管理の具体的な方法

(1)トルクレンチによる管理

最も確実な方法は、トルクレンチを使用して規定のトルク値で締め付けることです。
測定箇所は前述の「ロックナット側」と「シールナット側」の2箇所です。

▼ 締付トルクの参考値や、トルクレンチの製品情報はこちらをご覧ください。

 

 

(2)ギャップ値による管理

現場でトルクレンチが使用できない場合の代替案として、「ギャップ値」による管理が有効です。これは、事前に推奨トルクで締め付けた際の「シールナットと本体の隙間(ギャップ)」を測定しておき、現場での組立時にその隙間を目安にする方法です。

※注意:この方法は、使用するケーブルの外径が同じ場合に適用できます。様々なサイズのケーブルを使用する場合は使えません。

 

 

 

施工時の注意点

過剰トルク(過トルク) 

力任せに締め付けすぎると(過剰な締付は)、以下のような不具合の原因となります。

  • ケーブル(電線)の芯線にダメージを与える
  • 内部のゴムシール部品が変形・破損し、かえって防水性能が低下する
  • ケーブルグランドにクラック(ひび割れ)が入る

 

供回り防止

ロックナット側の締め付けが弱いと、シールナットを締め付ける際に本体ごと回転してしまう「供回り」が発生します。これではシールナットを正しく締め付けられず、緩みの原因になります。

対策としては:

  • 手順を守る: ロックナット側を先に規定トルクで締め付け、固定する。弊社ではシールナット側よりも高トルクに設定することを推奨しています。
  • 工具で固定する: シールナットを締め付ける際は、本体の六角部をスパナなどでしっかり固定しながら作業する。
  • 補助材の使用: お客様によっては、緩み防止のためにシールテープや樹脂用接着剤(瞬間接着剤)を併用されるケースもあります。(※使用の際は材質への影響にご注意ください)

 

 

 

 

トルク管理でお困りの方へ | 各種サービスのご案内

「トルク管理の重要性は分かったけれど、すぐに工具を用意できない…」
「自社の環境に最適なトルク値が分からない…」
そんなお悩みを解決するため、弊社では以下のサポートサービスをご用意しております。

 

(1)トルクレンチ貸出サービス

「まずは一度、トルク管理を試してみたい」「購入前に使用感を確かめたい」というお客様向けに、トルクレンチの貸出サービスを行っております。お気軽にご相談ください。

 トルクレンチ貸出サービスはコチラから

 

 

(2)締付けトルク測定サービス

お客様が実際にご使用になるケーブルとAVCケーブルグランドをお送りいただければ、弊社にて最適な締付トルクを測定し、レポートとして提出するサービスです。

  • ご提供いただくもの: ご使用予定のケーブル(約50cm)とケーブルグランド2個
  • 実施内容: 防水試験(IP68相当)、締付トルク値とギャップ値の測定・報告
  • 費用: 基本的に無償で対応します。(※内容や数量によっては有償となる場合があります。まずはお問い合わせください)

【ご注意】
本レポートは、お客様の環境における参考値をご提供するものであり、防水性能を保証するものではありません。

 

 

 

まとめ

ケーブルグランドが持つ本来の性能を最大限に引き出すためには、2箇所のネジ部に対するトルク管理が基本となります。

もちろん、現場の状況によっては常にトルクレンチが使えるとは限りません。その場合でも、手で締めた後にケーブルを引っ張っても動かないかを確認するだけでも、保持力と防水性の最低限の目安にはなります。

しかし、製品の信頼性を高め、施工品質を証明する「安心のエビデンス」として、一度は適切なトルク値を把握しておくことを強く推奨いたします。
トルク管理に関するご不明点や、サービスに関するご質問がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

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